2018年に発売されたアルバムの中で、個人的な順位をつけました。
あくまで「個人的」な順位です。完全なる主観で良かったなと思うアルバムを選出。
20枚選んでみました。2018年も良い作品に出会えて良かったです。
11位~20位
20.きのこ帝国「タイム・ラプス」
アルバム毎に変化し続けてきた彼女達が次に選んだのは「歌モノ」への挑戦。良質なポップソング集になったと思う。
佐藤千亜妃のボーカルを引き立たせるためか、バンドサウンドの主張は控えめ。物足りなさを感じなくもないけど、ライブで聴いたら印象が変わりそうな気もする。
ゼロ年代前半のギターロック好きは聴いてみると良いかもしれない。こういうサウンドが下北沢とかのライブハウスで鳴っていたのを思い出してみたりして。
19.ネクライトーキー「ONE」
Twitterでフォローさせていただいてる方が「2019年ブレイクするバンド」とおっしゃっていたので、この1stフルアルバムを聴いてみたら、脳内でこのバンドの曲が一時期鳴り止まなかった。
野暮ったい感じの女性ボーカルは、ポップな楽曲との相性が抜群で耳に残る。影響を受けたであろうバンドを歌詞に登場させたりするのも、リスナーの耳を惹く機能を果たしているなと。
2019年は各地のフェスやらイベントやらで、このバンドの名前を多く耳にすることは間違いなさそうです。
18.パスピエ「ネオンと虎」
分かりやすいぐらいパスピエなリード曲「マッカメッカ」やドラマチックにラストを飾る「恐るべき真実」など、ミニアルバムでありながら音楽性の幅広さを見せつけるには充分な作品となったのでは。
元々、器用なバンドでサウンド面では様々なアプローチを取り組んできたバンドだけど、今作は過去の試みを上手く曲に落とし込んでいると思う。曲それぞれに聴き応えがある。
17.クリープハイプ「泣きたくなるほど嬉しい日々に」
過去の彼らの作品と比較すると、かなり聴きやすい作品となっている。尾崎世界観が作るメロディの良さを堪能しました。
歌詞も彼らの過去の楽曲に見られる「生々しさ」みたいなものは控えめ。ただ、一つ一つのワードチョイスに尾崎世界観らしさを感じられる。
クリープハイプの作品への入り口として最適な一枚だと思う。
16.ART-SCHOOL「In Colors」
ミニアルバムを含めると20枚近くのアルバム作品を出しているバンドなので、サウンドに既聴感は拭えないのですが、今作は一曲一曲メロディが印象に残って良かったです。
木下理樹の歌詞の変化も興味深かった。いままで何度も繰り返し似たようなことを歌ってきたからこそ、変化に説得力があるというか。
「OK&GO」の歌詞なんかは心底驚いた。「家庭を持ちキャッチボールとかしたいな」なんてフレーズが飛び出すなんて感慨深いものがあります。
15.チャットモンチー「誕生」
「綺麗な幕引き」というわけにはいかなかったように思う。どう考えてもその先を期待してしまう作品だけど、そんな結末も不器用な彼女達らしい。
ロックバンドとして変化を選択し続け、最後までその姿勢を貫いた彼女達の思いが「誕生」というタイトルに集約されているのではないでしょうか。
14.04 Limited Sazabys「SOIL」
2ndフル「eureka」は今後どういうサウンドを目指すのかという点で迷いがあったように聴いていて感じたけど、今作は清々しいくらいの直球勝負で好感触。
ルーツであるメロコアやポップパンクを下地としたサウンドに彼ららしいグッドメロディを乗せるという手法に加え、遊び心を添えた楽曲は「フォーリミらしさ」というものを確立しつつあると思う。
自分の中に眠っているロックキッズを呼び覚ます数少ないバンド。らしさが詰まった快作。
13.ストレイテナー「Future Soundtrack」
彼らのキャリアの中でも、1、2を争うポップな作品。ただ、ポップになったといってもいわゆる「Jポップ」的なアプローチではなく、バンドとしての音を残したままでの変化。
バンドにデジタルな要素を加えたサウンドは、わりとありがちな感じを受けるけど、類似のバンドを探そうとしても中々見つからない。
各プレイヤーが別のバンドなどでも活躍していることから生まれる、引き出しの多さが理由なのではと考えている。
真似できそうで出来ない不思議なバンドになりつつあると、今作を聴いていて思った。
12.indigo la End「PULSATE」
初期の頃の繊細なギターロックという印象はかなり薄れ、海外R&Bやヒップホップを参照点にしたようなサウンドアプローチとなった意欲作。
メロディアスなリードギターが少なくなっているのは少し寂しいけど、「蒼糸」、「Unpublished manuscript」は素直に良い曲だと思えた。
既存曲のリミックスを抜いて新曲入れてくれたら、個人的にはもっと上の順位にしていたかもしれない。
11.Mr.Children「重力と呼吸」
上がり過ぎた(自ら上げ過ぎた)ハードルを越えるまではいかなかったけど、やはり一曲一曲のパワーは流石だなと感じた。
「バンドとしてのミスチル」にこだわった過去の彼らの作品となると「DISCOVERY」や「SENSE」なんかを思い出すけど、サウンドの愚直さみたいなのは今作の方が感じられる。
個人的に2017年のベストソングに選出した「himawari」が入っているのも大きい。この曲に並ぶ曲が収録されていたら、2018年のベストアルバム候補だったかも。
1位~10位
10.[ALEXANDROS]「Sleepless in Brooklyn」
初の海外レコーディング、「Brooklyn」を冠したタイトル、いつになくメロウな「Last Minute」でのスタートからも分かるように、明確に海外への進出を意識した初めての作品だと思う。
印象に残る歌メロは健在だけど、個人的には音の乾き具合がガレージっぽい感じがして好みだった。これは海外レコーディングの成果だろうか。
着実にロックバンドとして進化していることを感じられる作品。
9.宇多田ヒカル「初恋」
宇多田ヒカルのアルバムは発売されるたび聴いてはいるけど、しっかりと聴き込んだことは今まで無かった。でも、この「初恋」には凄く惹きつけられました。
1999年のデビューアルバム「First Love」から19年経っての「初恋」。19年前よりも更に切実となって、楽曲の純度が増しているように思う。もはや狂気すら感じる。
サウンド面での目新しさは少ないけど、彼女の歌唱にじっくりと浸れる作品。
8.星野源「POP VIRUS」
やろうと思えば「ドラえもん」を収録して、「恋」のようなBPM速めの楽曲を多く収録することも出来たと思うけど、そうはしなかった。「アルバム」という単位に、未だ価値を感じている自分としては、まずその点を評価したいなと。
あと、個人的に今作は歌詞が良かった。「POP VIRUS」のキラーフレーズ「始まりは炎や棒きれ~」にはもちろん唸ったし、全体的に内省的な歌詞が多いのも好み。
もはやJ-POPのトップランナーと言ってもいい彼が、自らの音楽に対する偏愛を詰め込んで出来た力作。
7.RADWIMPS「ANTI ANTI GENERATION」
初期の音楽性から、今作までよくぞ辿り着いたなと。2018年現在フェス等で活躍する若手バンドが、RADWIMPSみたいに音楽性の幅を広げていく姿を想像出来ないことから考えると、凄い進化だと思う。
彼らがこれまで培ってきた音、今鳴らしたい音、未来に向けて鳴らしたい音、全てを余すこと無く詰め込んだパワフルな一作。
ヒップホップ風のビートの導入やフィーチャリングへの挑戦など、彼らなりの現状の音楽シーンへの接近も、現在進行形のバンドであることを証明できていて良かった。
6.くるり「ソングライン」
フォーク、カントリーを土台とした優しいサウンドは、これまでの彼らのキャリアから考えるとシンプルに感じるけど、聴けば聴くほど細かなところに行き届いたアレンジに唸ってしまう。
じっくりと丁寧に歌っているボーカルも今までの彼らとは違ったアプローチで新鮮な感じがした。
しかし、どんなサウンドが鳴っていても「くるりの楽曲」だとすぐに認識できるのは凄いなと改めて思ったり。ずっと活動をし続けてほしい貴重なバンド。
5.Age Factory「GOLD」
アルバムを出す度に着実に成長しているバンドは信頼できる。Age Factoryは2ndフルアルバムのこの作品で大きく成長したように思う。
彼らを聴いていて感じるヒリヒリとした緊張感はそのままに、大きな会場でも映えるスケール感を身につけた。
ロックバンドらしい豪快さと相反するように見せるとても繊細な一面。Age Factoryの魅力が溢れた一枚。
4.羊文学「若者たちへ」
個人的に2018年夏の思い出の一枚となった。実に1stフルアルバムらしい瑞々しい仕上がりの作品。
スリーピースらしいダイレクトで飾り気の無い演奏に、様々な表情を見せる塩塚モエカのボーカルが乗っかると、妙に楽曲に説得力が増すのである。バンドマジックってやつだろうか。
特に「Step」が名曲。イントロ、曲展開、歌詞、どこを切り取っても好み。冒頭の「長い階段を~心がいるなと思った」という歌詞は「ほんと、それ」って頷きました。
3.teto「手」
この作品も実に1stフルアルバムらしい作品。「今鳴らさないと意味が無い」という思いが伝わってくるような切迫感のあるサウンド、ありきたりな言葉を使うなら初期衝動ってやつでしょう。
数多くの怒りに満ちた言葉や現実に対する無力さが歌われる作品だけど、終盤の楽曲で垣間見える優しさにグッと来てしまった自分がいた。
彼らがこの作品を越える作品を作るのは難しいのではないか、そんな不安を感じさせてしまうほど衝動に満ちた快作。
2.UNISON SQUARE GARDEN「MODE MOOD MODE」
このバンドに出会ったのは、バンド名を冠した1stフルアルバムが発売された2009年。
長い間その1stが彼らの最高傑作だと思っていたけど、ついに1stに匹敵、いや越えたと言ってもいいアルバムになった。
シングル曲の出来が全て良いのはもちろんのこと、「アルバム」として曲順や構成がしっかり練られている点もすごく良かった。
ロックバンドとして、スリーピースバンドとしての面白さを詰め込んだ、彼らのキャリアの集大成となる一枚。
1.ASIAN KUNG-FU GENERATION「ホームタウン」
1曲目の「クロックワーク」、間奏の喜多健介のギターフレーズを聴いたとき不覚にも涙腺が緩んでしまった。
2018年聴いたアルバムで、1曲目から泣きそうになったのはこの作品だけ。だから、このアルバムを1位にさせてください。
「ホームタウン」というタイトルをみると「アジカンが戻ってきた」みたいな印象を受けるかもしれないけど、自分はそうは思わなかった。
この作品(サウンド)を「ホームタウン(=本拠地)」にして、また歩みを続けていくという決意表明なんじゃないかと。「ボーイズ&ガールズ」の歌詞を引用するなら「まだ はじまったばかり」。
日本のロックバンドの一線を走り続けてきた彼らが放った、ロックバンドのサウンドに対する一つの回答であり、これからのロックバンドのサウンド指標となりうる作品。